Tomorrow
大好きな人の声とぬくもりを感じながら、大好きな人の声と
ぬくもりを感じながら、
絵本の世界に夢中になる幸せなひと時。絵本の世界に夢中になる
幸せなひと時。

PICTURE BOOK LIFE

自分のためだけに絵本を読んでもらう、
子どもにとってかけがえのない体験。

ゆっくりとページをめくると、ページいっぱいに描かれた絵と、優しい言葉で書かれた文章が現れる。読み進めるうちに大人も子どもも絵本の世界に引き込まれ、同じ時間を過ごす幸せに包まれる―。

内田祐子さんは「絵本のつなぎて」として、絵本がもつ魅力を多くの人に伝えている。親子向けの読み聞かせの会を行ったり、幼稚園から依頼を受けて講演を行ったりと、その活動は幅広い。

「子どもたちに、絵本を読んでもらう心地よさを知ってほしいんです。そのためにまずは絵本を読んでくれる人、つまり保護者や先生方に絵本の魅力を感じてもらおうと考えて活動しています」

しかし、テレビアニメや動画が簡単に視聴できる現在は、かつてのように絵本を読むことが当たり前ではなくなっているという。

「桃太郎と金太郎と浦島太郎は友達だよね、と思っている子どももいます。CMの影響だと思いますけど(笑)、その元になっている昔話のことは知らない。絵本の世界に触れないまま、大きくなる子どもは少なくありません」

たしかに、大人が手に取らなければ、子どもが絵本に親しむ機会は生まれにくい。では、内田さんが考える絵本ならではの魅力とは何だろうか。

「テレビは情報を一方通行で受け取るだけですが、絵本は、一対一の双方向の世界です。子どもの反応を見ながら、時には前のページに戻ってみたり、リズムに合わせて歌ってみたり。子どもからすると、大好きな人がぬくもりと愛情を注いでくれる時間です。お母さんが家事の手を止めて、自分のためだけに絵本を読んでくれたという経験は、大きくなってからも記憶に残り、愛されていたという実感につながると思います」

お母さんが読みたいと感じた絵本を、
子どもに読んであげてほしい。

絵本のページをめくり、一緒にお話を読み進める時間は、親子を自然とつなぐ力があるのだろう。

「私も子育てを経験して思うのですが、子どもと深く関わる時期はあっという間に過ぎ去ってしまいます。その貴重な時期にこそ、子どもと一緒にワクワクしながら絵本をめくってほしいんです」

ところで内田さんはさまざまな場所で、お母さんから「うちの子の年齢だと、どの絵本を選べばいいでしょうか」といった質問を受けることがあるという。絵本選びにもコツはあるのだろうか。

「どの親、どの子にもあてはまる正解はありません。正しい選び方なんて気にせずに、本屋さんや図書館で、何冊かパラパラとめくってみてください。お母さんが好きだと思う絵本、子どもに読んであげたいと思う絵本に、きっと出会えると思います」

ひと口に絵本といってもその魅力はさまざま。肩の力を抜いて、読みたい絵本を読んでほしいという。ちなみに内田さんのおすすめを何か一冊挙げてほしいとお願いすると、手元にあった『くだもの』という絵本を紹介してくれた。

「いろいろな果物をお母さんがむいて、子どもに『はい、どうぞ』と渡してあげるお話です。シンプルなストーリーですが、よく見ると子どもが手に取りやすいように気づかって渡しているんですね。絵を見て、言葉を聞いて、ページの手ざわりを感じながら、作者が込めた思いを子どもと一緒に見つけることができる、素敵な絵本だと思います」

大人と子どもが同じ目線で、同じ時間を過ごす絵本の世界。IT化が浸透した現在だからこそ、このアナログならではの魅力が子どもを夢中にさせるのかもしれない。

★今回掲載した絵本★
『夜のおたんじょう会へ』きたによしこ作 ニジノ絵本屋
『木の実とふねのものがたり』小林由季作 ニジノ絵本屋
『くだもの』平山和子作 福音館書店

Profile
ふわはねえほん
内田 祐子(うちだ ゆうこ)さん
@fuwahane

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