
スイーツ好きの人たちと
幸せを共有する毎日。
昼下がりのキッチンに、生クリームを泡立てる音が響く。ケーキ台にはふわふわに焼きあがったシフォンケーキ。お子さんが帰ってきたらホイップクリームとフルーツをトッピングして、手づくりケーキと会話を楽しむひと時が始まる。
5年ほど前から、スイーツづくりを楽しんでいるという野田実希さん。今ではタルギケーキやブランマンジェのスイーツなど、レパートリーの幅が大きく広がっている。
「最初のうちは、思い通りに仕上がらないこともよくありました。でも、失敗した原因を考えて、次は上手にできるはず!と試行錯誤するのが楽しくて。スイーツをつくる回数も自然と増えていきました」
季節のフルーツを選び、色合いやレイアウトにこだわってつくられたスイーツは、みずみずしく美しい。このスイーツのでき栄えを多くの人と共有することも、スイーツづくりを続けるモチベーションになっているという。
「完成したスイーツを撮影してSNSに投稿すると、いろいろな方から反応をいただきます。『写真を見て幸せな気持ちになりました』といったコメントをもらうと、次はどんなスイーツをつくろうかなとワクワクします」
海外の方から英語のメッセージをもらったこともあるという野田さん。工夫を凝らしてつくり上げたスイーツが、スマートフォン越しに見る人々を幸せな気持ちにしている。スイーツをつくって味わうだけでなく、その魅力を発信して人とつながり、共感し合う。現代ならではのスイーツづくりの楽しみ方と言えるだろう。
母から自分、そして娘へと
レシピを受け継ぎたい。
野田さんは、シフォンケーキづくりに特別な思い出があるという。
「私が小さいころ、当時はまだ珍しかったシフォンケーキをよく母が焼いてくれました。普通のスポンジケーキよりもふわふわで柔らかくて、いくつでも食べられそうな気がしました」
野田さんがスイーツづくりを楽しむようになったのは、幼い頃に手づくりスイーツのおいしさを知ったことが大きいようだ。
「仕事や子育てで忙しかった時期は、家事以外に気をまわす余裕がありませんでした。でも、次第に娘に手がかからなくなって、母のケーキづくりを手伝った時の楽しさを思い出したんです」
お母様から改めてレシピを教わり、大切に保管されていたシフォンケーキ型を譲り受けた野田さん。そこからスイーツづくりへの思いが次第に高まり、「ケーキを買ってくるよりも、自分でつくる方が自由にアレンジできて楽しい」と思うようになった。
「スイーツづくりは自分一人の楽しみではなく、家族やお友達と『おいしい』感覚をわけあえるところがいいですね。それに、もっとおいしく、もっとかわいくつくろうと工夫を重ねることで、少し大げさですけど、自分の成長を感じられるんです」
これからは、スイーツ好きのお友達と一緒につくる機会を増やしていきたいという。そして、いずれは娘さんにお母様のレシピを伝えて、親子三代でスイーツづくりを楽しみたいと夢を語ってくれた野田さん。これからも素敵なスイーツをつくって、家族や周りの人の笑顔を広げていきそうだ。